多発性骨髄腫とは
【編集協力】千葉大学医学部附属病院 血液内科 科長・診療教授
堺田 惠美子 先生
知ってほしいポイント
多発性骨髄腫とはどんな病気?
骨髄腫細胞の働きとその影響
正常な骨髄
多発性骨髄腫の症状
多発性骨髄腫では、「CRAB(クラブ)」と呼ばれる主な症状のほかに、初期から見られるさまざまな体調の変化が現れることがあります。
主な症状:CRAB症状
C:高カルシウム血症(hypercalcemia)
骨が壊れることで、カルシウムが血液中に溶け出し、血中濃度が高くなります。
倦怠感や口の渇き、吐き気、便秘、意識がもうろうとするなどの症状が出ることがあります。
倦怠感や口の渇き、吐き気、便秘、意識がもうろうとするなどの症状が出ることがあります。
B:骨病変(bone lesion)
骨がもろくなり、腰痛や圧迫骨折、ぶつけていないのに骨折する「病的骨折」が起こることもあります。
特に初期症状として多いのが、腰や背中の痛み、背骨の圧迫骨折です。
特に初期症状として多いのが、腰や背中の痛み、背骨の圧迫骨折です。
その他の症状
免疫力が低下し、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
発熱、のどの痛み、口内炎などが出ることもあります。
また、血小板が減ると、青あざ、鼻血、歯ぐきの出血が起こりやすくなります。
発熱、のどの痛み、口内炎などが出ることもあります。
また、血小板が減ると、青あざ、鼻血、歯ぐきの出血が起こりやすくなります。
血液の粘りによる症状[過粘稠度症候群(かねんちゅうどしょうこうぐん)]
Mタンパクが増えると血の流れが悪くなり、頭痛、めまい、耳鳴り、視力の低下などが現れることがあります。
アミロイドの沈着による症状(アミロイドーシス)
Mタンパクが変化したアミロイドという物質が臓器にたまり、手足のしびれや痛み、めまいなどの症状や、心臓や腎臓などの臓器の機能障害を引き起こすことがあります。
多発性骨髄腫は、初期には自覚症状が少ない場合も多く、健康診断で貧血や尿タンパクの異常が見つかり、診断につながることもあります。
日ごろから体調の変化に気を配り、気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。
日ごろから体調の変化に気を配り、気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。
多発性骨髄腫になりやすい人
比較的高齢の方に多い病気です。
多くの場合、50歳代以降で発症し、診断されたときの年齢の中央値は67歳です。
また、女性よりも男性の方が、やや多く発症するといわれています1)。
多くの場合、50歳代以降で発症し、診断されたときの年齢の中央値は67歳です。
また、女性よりも男性の方が、やや多く発症するといわれています1)。
年齢階級別罹患率2)
【多発性骨髄腫 2021年】
【多発性骨髄腫 2021年】
多発性骨髄腫を発症する原因については詳しくわかっていません。
出典
1)日本骨髄腫学会 編: 多発性骨髄腫の診療指針2024 第6版. p2-4, 文光堂. 2024
2)国立がん研究センター: がん情報サービス「がん統計」 多発性骨髄腫 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/26_mm.html[2025年9月8日確認]